2020年8月
コロナの影響で半年にもおよび飛行機搭乗が途絶えていましたが、今回香港=クアラルンプール=ドバイをキャセイ(ドラゴン)とエミレーツで利用しましたので紹介します。コロナ前と変わったことが多く、色々考えさせられるフライトでした。
1.チェックイン
コロナ以前にはパスポートと予約を提示すれば普通に航空機に搭乗できる世界でしたが、コロナが起こってからの今はチェックインですらかなりの難儀になっています。特に「自国民や永住権保持者が本国に帰る・戻る」のであればそこまで厳しくありませんが(それでも事前のPCR検査や過去14日間の渡航歴等で拒否られる可能性はありますが)、「帰国でも帰省でもない者が第三国を経由して国籍や永住権と関係ない国へ移動する」というのはとんでもなくハードルが上がっています。
まず、会社から「業務上必要な移動である」という正式なレターを持っての移動です。これらはチェックイン時に確認され、PCR検査結果と共に重要な書類になります。それらの確認と最終目的地ドバイへの入国可否の確認に1時間掛かりました。スタッフは基本「入国できる確証がなければ搭乗させてはいけない」というスタンスでチェックイン業務をしている印象です。とてもではないですが、私的な観光旅行だったら搭乗できたかも分かりません。
2.空港ラウンジ
搭乗客の激減に伴い、エアラインラウンジも殆どが閉鎖されています。チェックインの際は「開いているのはザ・ウイング(ファーストとビジネス)のみでそれ以外は閉鎖しています」の掲示がありましたが-
実際にビジネスクラスラウンジへ行ってみるとシャッターが閉まって閉鎖されています。一枚の掲示があり「ビジネスクラスラウンジは閉鎖しています。ファーストをご利用下さい」。それならカウンターでそう案内して欲しかったですが、二度手間でファーストのラウンジへ向かいます。
ラウンジ内はガラガラ。利用客は自分を含め10名以下でした。
帰路のドバイ、エミレーツラウンジはこの光景。
ここは利用客でいつも満杯でしたが、今はちらほら人がいるだけ。スタッフも手持ち無沙汰なので、席に着くとすぐにオーダーを取りに来てくれます。
当然、ビュッフェは中止され箱入りの固定メニュー(ベジタリアンかノンベジタリアンの選択)のみになります。
出発案内を見ると、昼の12時半で既に21:35発の便まで見えてしまっています。
以前であれば1時間に出発10便なんて当たり前でしたから、3時間先の便ぐらいまでしか表示されていませんでしたが、今では一番多い14時台で6便、それ以外は1時間に2便なんて有様です。
3.機内サービス
ビジネスクラスは、搭乗すると布製のおしぼりやウエルカムドリンクのオーダーが一般的でしたが、今は接触・飛沫防止のため紙製のお手拭きとボトルドリンクに変更されています。
離陸してしばらくして、ふと「あれ?機内食は出るんだっけ」と忘れていることを思い出しました。出発前は仕事と入国関連の手配でとにかく忙しく、機内サービスがどうなってるか調べずに来てしまいました。確かこのパンデミックが起こってからは「ビジネスクラスといえども水のサービスだけ」みたいな時期がありました。「そこから変わったのかな?もしかして機内食なし?」とあれこれ考えていると男性CAが「ミールをお持ちしますね、飲み物は何がいいですか?」と聞きに来てくれました。彼とも少し話しましたが、フライトが激減してここ1か月で飛んだのは1日だけとの事でした。彼らも本当に気の毒です。
そしてエアラインはもっと酷い状況でしょう。この便のビジネスは自分ひとりのみ。エコノミーも30人程度でした。搭乗率1割…、これでは飛ばすだけ赤字状態です。
機内食のお皿などはエコノミーのようなアルミ製の使い捨てで出てくるかなと思いましたが、意外なことに今まで通りの形式で出てきました。
この一瞬だけ、半年以上前の日常に戻った気分になりました。
復路は事情が異なりましたが…(後述)。
そしてクアラルンプールからのエミレーツ便はエコノミーはざっと見、6割ぐらい。しかしビジネスは1割程度。こちらはだいぶマシですがそれでも利益が出ないレベルでしょう。
搭乗すると、メニューと共に渡されたトラベルハイジーンキット。
マスク2枚にゴム手袋、アルコール消毒液に除菌ティッシュが入っています。
エミレーツでは「機内でコロナに感染した場合は、治療費を全額持ちます」という施策も打ち出し、とにかく需要の回復に力を入れている印象です。
そして客室乗務員もガウンに手袋、ゴーグルをつけての乗務。
食事の希望を訊かれた際も「食事のカバーやラップはこちらで外しますか、それとも自分でされますか」と。これもコロナ前は無かったことですね。
やってきたミールにはカトラリーからコップ、パンに至るまで全てにカバーが掛けられています。
こちらは新しい「ニューノーマル」を実感するところです。
そして以前は50MBまでは無料だった機内Wifiが、有料になっています。利用客の減少で無料で提供するのは難しいということでしょう。
そして帰路のキャセイですが、この時期になると本拠地香港の感染者が急増していて市内でも対策が強化されているところでした。それに準拠したサービスの改定だと思いますが、機内食は搭乗の時点で事前に各席にセットされていました。
飛行中もサービスはなく、飲み物などは個人的にオーダーして個別対応という形でした。往路のような「古き良きフライト」を実感できない今風のサービスでした。
4.ホテル・その他
空港からホテルまではウーバーを利用しましたが、ここでもやはり運転席と客席をビニールの仕切りで区切っていました。ハンドサニタイザーも完備。
宿泊したシェラトングランドでもプラスチック板を隔てたチェックインカウンターや足元の目印、至るところにソーシャルディスタンスを保つ事を促す表示。
部屋にはセイフティーキット。
そしてドバイ空港のイスも、真ん中を使用禁止にして各席に仕切り版。
もう至るところこれがスタンダードになってしまいました…。
5.まとめ
もうこうなってしまった以上、以前のような海外旅行や航空移動はほぼ不可能な世の中になってしまい、それを受け入れるしかありません。自分は今回、仕事上の理由でこういう移動をしましたが、できただけ有難いことです。つい半年前まで普通に移動出来ていたことが信じられません。
そして色んなことが変わってしまっていて、なかなかそれを受け入れるのも大変です。それは空の移動に関わらず、多くの方の人生も変えたと思います。
ただひとつだけ変わらなかったこと。それは、やはり空は青く綺麗だということです。
いつかまた自由に飛行機に乗れることを夢見て、出来るだけポジティブに頑張っていきましょう。